2015年2月23日月曜日

労働者M【DVD】

作・演出 ケラリーノサンドロヴィッチ
以前、先輩にお借りしたままのDVD、やっと見れました。
ケラさんの作品、私、実は勉強不足で、
以前小劇場で観た「フローズン・ビーチ」以来、その他の作品を知らないのです。
それと比較すると、全く印象が違って新鮮な反面、どこかやっぱり色があるなぁとも思いつつ、といった感じで。
作品は、自殺者の救済センター?『命の電話』みたいなシーンと、
ずっと先の未来、昔学生運動をしていた人々が集められた収容所?救済所?のシーンが織り混ぜられて進んでいきます。
まず、「おっ、」と思ったのが作品への導入、前説のシーン。
メインの役者さんお二人が出てきて、いつもの前説と共に何となく作品の捉え方みたいなお話をされるところ。
役者さんの後ろに台本が写し出されて、ここもお芝居ですよ、とわかる。
が、名前が「エセ堤」「エセ小泉」となっている。
面白い。
前説のなか、「この作品の中で、多々『欠落』している部分があります」というのも印象的だった。
気にせず聞いていると、台詞を忘れた進行が止まるかもしれません、という、ちょっとした冗談にも聞こえたが、
ケラさんのインタビューまでみると、なるほどなぁとわかる。
シーンが交錯していて、説明されていない部分もあるけれど、
それも一緒に想像して楽しんでください。
と、わたしはそんな風に感じた。
素敵だ。
作品のラスト、橋が崩れ落ちるシーンは圧巻だ。
政府や制度が崩れ落ちる象徴としてなのかなぁ。
次の、自殺者の救済センターに続いても瓦礫が残る。
現代の話でもなお、未来のシーンに引っ張られた見栄えが何ともなく哀れさを感じさせられた。
浮浪者風の風貌をした人物が現れるのも、、なんと言えない物悲しさを感じた。

流し観のつもりで観ていたが、いつの間にか画面に釘付けになっていました。
是非もう一度しっかりと観てみようと思います。
いわゆる考えさせられる、観客にサービスしすぎない作品で、何度観ても楽しめそうです。
戯曲が手に入れば是非読んでみたい。